『マッサンとリタ』オリーヴ・チェックランド – ジャパニーズ・ウイスキーの誕生

『マッサンとリタ』とは

『マッサンとリタ』とは、日英交流史の研究者オリーヴ・チェックランド女史による、ジャパニーズ・ウイスキーの誕生に迫った研究書。

『マッサンとリタ』について

宮城峡蒸溜所にある竹鶴とリタの等身大パネル。
宮城峡蒸溜所にある竹鶴とリタの等身大パネル。

竹鶴政孝とリタについて、恐らく、もっとも学術的かつドライに描かれた本。もともとは、英国で『Perfect Blend』として出版されている本の邦訳です。ちなみに、Kindle版は簡単に購入できます。(当記事最下部を御覧ください)

この本の特徴は、著者が日英交流史を研究している人なので前提知識が非常に深いこと、そして学術的であるということが挙げられます。

参考文献や脚注をはっきり示しているので資料の信頼性が非常に高いのです。下記に主要参考文献を5つあげていますが、ごく一部です。参考文献が章ごとに紹介されており、たった数ページの章を書くにあたっても、数十冊の参考文献が挙げられています。

この本が出るまでは、ジャパニーズ・ウイスキーの歴史は、かなり曖昧な土壌で語られる、いわば口伝の歴史が主でした。いまよりおよそ百年前の出来事が主であり、しかも主要な証言は、竹鶴政孝らの自伝に頼る部分が多いため、意図しない記憶の改竄などで、事実と異なることも多くありました。

そうしたなか、これほど学術的で信頼のおける本が出てきたことは、ジャパニーズ・ウイスキーの歴史を研究する中で、ひとつのエポックメイキングな出来事であるといえるでしょう。

アクセスしているソースが広くて深いです。例えば竹鶴威と懇意になり、竹鶴政孝とリタとの手紙を細かく読んでいたり、また一方で、リタの父であるサミュエル医師の正確な生没年については、現地のローカル新聞の過去記事を調査したり、といった具合です。

私もこうしたサイトを運営してモノ書きのはしくれとして活動しておりますから、オリーヴチェックランド女史のこうした姿勢には多く学びたいと思います。

とにかく、ジャパニーズ・ウイスキーの歴史を知るなら最適な本です。おすすめ!

主要参考文献

作品名『マッサンとリタ』
著者オリーヴ・チェックランド
初版2014年
ジャンル研究書
発行所NHK出版
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