アップルワインの外観。販売開始当時とほぼ変わらないボトルデザイン。

【酒精強化】ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)とは

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)は、ニッカウヰスキーが製造する、リンゴを材料とする酒精強化ワイン。

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)について

アップルワインの外観。販売開始当時とほぼ変わらないボトルデザイン。
アップルワインの外観。販売開始当時とほぼ変わらないボトルデザイン。

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)は、

  • リンゴを原料としてアルコール醸造した原酒(アップルワイン、シードル)と、
  • それを蒸留、樽熟成させた原酒(アップルブランデー、カルヴァドス)

を混合し、さらに調味料として

  • 酸味料
  • 着色料(カラメル色素)
  • 酸化防止剤(亜硫酸塩)

を添加して作られています。シェリー酒やポートワインといった酒精強化ワインとほとんど変わらない製法ですので度数は22度と、「ワイン」という言葉から想像するには強い酒といえるでしょう。

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)の販売経緯

仙台工場ラベルには宮城峡蒸留所が画かれる。
仙台工場ラベルには宮城峡蒸留所が画かれる。

ニッカで、こうした酒精強化ワイン(しかも原料がリンゴ)が作られた経緯は実に涙ぐましいものがあります。

ニッカウヰスキーにかぎらず、ウイスキー会社の宿命として、ウイスキーのはじめの仕込みから販売まで、どんなに短くとも三年以上の時間を要します。その間、全く売上が上がらないのにもかかわらず、原酒の製造を続けなければなりません

さらに、三年経ったからと言ってすべての樽が良い原酒になっているとも限りませんし、また将来の年代物の銘柄のことを考えると、すべての原酒を使い切るわけにもいきません。

宮城峡蒸留所にある、ニッカの歴代ボトルのディスプレイ。よく見ると、ウイスキー以外にジュースやブランデー、アップルワインといった商品があることがわかります。
宮城峡蒸留所にある、ニッカの歴代ボトルのディスプレイ。よく見ると、ウイスキー以外にジュースやブランデー、アップルワインといった商品があることがわかります。(クリックして拡大)

こうした具合に、ウイスキー会社というものは、目前の赤字を甘受しつつ、数十年先を見越して製造を続けていくという、大変に遠大で困難な経営をせざるを得ないのが実情です。

サントリー社在籍中の山崎蒸溜所の運営で、こうした問題をすでに痛感していた竹鶴政孝は、一計を案じます。

それは、余市にてウイスキー会社を立ち上げるにあたり、直近の数年間は、余市近辺で産するリンゴを用い、ジュースやゼリーといった加工品を製造販売することで経営を支えるというものでした。

1934年、竹鶴政孝は、「大日本果汁株式会社」として創業し、果汁販売会社としてニッカウヰスキーの歴史がスタートさせます。

計画通り、近隣の農民から大麦だけでなくリンゴを大量に(なんと目方で)買い入れ、果汁100%ジュースを製造し販売。

宮城峡蒸留所にある竹鶴とリタの等身大パネル。
宮城峡蒸留所にある竹鶴とリタの等身大パネル。

じっさいは、果汁たっぷりの品質の高さ故に、成分が沈殿してしまい販売許可の問題や売れ行きに問題が出るなどして必ずしも思惑どおりにはなりませんでした。

しかしその栄養価の高さから病院に卸されるようになり経営の下支えに寄与します。

そうした中、創業から4年後の1938年、さらに経営を強化するべく、リンゴを醸造、蒸留してリリースされたのがこの「ニッカアップルワイン」なのです。一節には、リンゴのジャムやゼリーといった加工品を製造していた、竹鶴政孝の妻のリタのアドバイスによる製品であるとも言われています。

ニッカのアップルワインは、こうした歴史のうえに生まれています。今ではニッカウヰスキーの商品ラインナップの中では影が薄い存在ですが、ある意味では、ニッカウヰスキーの正道中の正道の商品といえるかもしれません。

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)の香りと味わい

右からスーパーニッカ、竹鶴、アップルワイン
右からスーパーニッカ、竹鶴、アップルワイン

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)を口にしたのは、2016-05-22に、宮城峡蒸留所にて。蒸留所紹介ツアーの最後に無料試飲銘柄の一つとして振る舞われたものです。ちなみにこの時は、

の三種が無料試飲の対象銘柄でした。

さて、肝心の香りと味わい。

先の2つの度数が高いウイスキーをテイスティングしたあとなので、香りは弱く感じます。(余談ですが、香り立ちの強さはアルコール度数の高さに比例すると考えています)

原材料の記載には酸味料、酸化防止剤の文字が。
原材料の記載には酸味料、酸化防止剤の文字が。

香りからすでに甘み、酸味、渋みがあります。酸化防止剤か酸味料由来か、無添加のウイスキーでは感じられない薬品臭も感じます。

口当たりは濃厚かつマイルド。糖分由来か、かなりの粘度があり、それがより甘みを強調しています。香りの印象を大幅に超える甘さです。

一般的に世に出ている梅酒と変わらないレベルの甘さ。噂に聞く、食後酒として人気のシェリー・ペドロヒメネスはこういった味わいなのかしら、と思います。

甘さの後は苦味、渋み、最後にほのかなアルコールのピリピリ感。樽熟成由来の樽香もごくほのかに感じます。

ニッカのアップルワイン(NIKKA APPLE WINE)の総評

総評として、決してまずい酒ではなく、むしろよく出来た酒なのですが、若干ながら人工的な味わいがありますので、この酒自体を目的に飲むのは厳しい印象。あくまでシェリー酒代わりのデザートワインとしてストレートあるいはロックで飲むことで食卓を彩るお酒です。

竹鶴政孝とリタ、ニッカの歴史に思いを馳せながら飲むとまた格別です。オススメ!

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