白州蒸留所の貯蔵庫。見える範囲はごく一部。圧倒的な貯蔵量がある様子。

ウイスキー樽の種類

ウイスキーの樽の種類について

ウイスキーの熟成に欠かせない木樽。木樽の種類や特徴について簡単にまとめてみました。

ウイスキーの樽について整理

下記にさまざまな観点から樽の分類を整理してみます。

サイズ別のウイスキー樽一覧表

下記に概略の表を記載します。

名称容量概要
バレル(barrel)180~200リットルフランス語の「樽」barilを起源にもつ。アメリカでホワイトオークを材料に、バーボンカナディアンのための樽としてつくられ、スコッチジャパニーズの再使用樽として用いられる。
ホグスヘッド(hogshead)250リットル語源はおよそ豚一頭の重さであることから。バーボンバレルを解体、組み直して作られる寸胴な樽。
パンチョン(puncheon)500リットル300リットル強~500リットル強と、サイズはまちまち。日本ではサントリーがウイスキー熟成用に作っている。材は北米産のホワイトオークが主。
バット(butt)500リットル大きい樽を意味するラテン語が語源。シェリーの熟成に一般に使われるサイズ。後述する特殊樽の基準になるサイズ。(クオーターなら、バットの4分の1のサイズ、つまり125リットルほどになる。)

特殊なウイスキー樽一覧表

こちらは近年ではあまり使われていないサイズの樽の一覧表です。

名称容量概要
オクタブ(octave)45~68リットルシェリー用、ウイスキー用として使われる。シェリーバットの8分の1のサイズ。
クオーター(quarter)127~159リットル運搬に便利な小樽として、ウイスキー用に以前はよく使われていた。まれに、ワイン樽の4分の1(55リットル)のものもある。
パイプ(pipe)410~650リットルピペとも呼ばれる大樽。ポルトガルのpipaが語源。ポートワイン、シェリー酒に使われていた。

ウイスキーに使われる樽の種類一覧表

今度は、ウイスキー種別ごとに使われる樽を整理します。

名称容量概要
バーボン新樽100%
内面を焦がす処理をした樽
バーボンでは、新樽で内側を焦がすことが義務づけられている。
※一方で、コーンウイスキーは例外的に「新樽熟成」と定められていない。また熟成年数にも縛りがない。それゆえ、熟成期間が「30日未満」という変わったコーンウイスキー「ジョージアムーン」がリリースされている。
スコッチバーボン樽バーボンは新樽が義務付けられているため数多く生産されており、比較的安く手に入る。そのためスコッチの樽熟成にもっとも多く使われれるのがバーボンバレルで、実にスコッチで使われる樽の9割を占める。
シェリー樽いまや値段が高騰してなかなか手に入らなくなってしまっているシェリー樽。『竹鶴ノート』にもあるように、最上のウイスキーの熟成に使われる。例えばマッカランはシェリー樽しか使わないことを誉れにしていたが、近年のシェリー樽の高騰を受けてか、「ファインオーク」というシェリー樽以外の樽を用いた銘柄も出ている。
再利用樽一度スコッチを熟成させたあとの樽のこと。1空き、2空きといった単位で呼ばれる。一般的に、再利用する場合は内側を焦がして樽成分を再活性化させる。
その他ワイン樽、コニャック樽、酒精強化ワインの樽などが使われることもある。
カナディアンバーボンの空樽
新樽
貯蔵はパラタイズ式が一般的。容量180リットルのものが多く利用されている。
ジャパニーズバーボン樽スコッチと同様にバーボン樽を多く使う。信州マルス蒸溜所にもフォアローゼスやジャック・ダニエルの樽があった。キリンはフォアローゼス、サントリージム・ビームなど、系列を同じくするバーボン蒸溜所の樽を使うことが多いとされる。
シェリー樽スコッチ同様、ハイエンドの製品に使われることが多い。
ワイン樽日本では、スコッチと違いワイナリーが多く国内にあるため、ワイン樽が使われることも少なくない。信州マルス蒸溜所ではワインカスクフィニッシュのシングルモルトが出たこともある。
新樽ごくまれに新樽が使われることがある。初期の余市蒸溜所ではジャパニーズオークと呼ばれるミズナラで樽を作ることが想定されていたし、今でも一部の蒸溜所で使われている。
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