知多について
「知多」はサントリーの知多蒸溜所で作られたニューメイクを熟成、ブレンドして作られた、ジャパニーズ・シングルグレーン銘柄です。
「知多」は愛知にある知多蒸溜所で蒸溜されます。サントリーのグループ会社であるサングレインが所有する工場で、当然ながらグレーンウイスキー製造に適した連続式蒸溜機が用いられています。
おそらく貯蔵設備は知多にはないため、山崎蒸溜所などで樽貯蔵されていると考えられます。実際、山崎蒸溜所を訪問したさいは、サングレインと記載のある樽がありました。
響や角などのブレンド用においてあったのかもしれませんが、一部は知多のための樽なのかもしれません。
サングレインと記載のあった樽は数が少なかったので、トリスや角といった廉価銘柄というより、響や知多のための原酒と考えた方が自然かもしれません。
また、知多蒸溜所は一般には見学が認められていないので、連続式蒸溜機のスペックもわからないのですが、2013年より白州蒸溜所にカフェスチルが導入されたことが話題になったので、おそらくカフェ式ではなくアロスパス式などの新しいタイプの連続式蒸溜機であることが推測されます。
知多の香りと味わい
さて、そんな知多の香りと味わいです。
ニッカのカフェグレーンに比べて、味わいは全体に単調ですが、シンプルでまとまりがあるともいえます。
純度の高いエタノールに加水して度数を下げているので、味わいも香りもウォッカに近く、良い意味で透き通った甘さがあります。
そしてトウモロコシ様のまったりとした甘さもありますが、これはおそらく原酒由来というより、貯蔵に使っているであろうバーボンカスク由来でしょう。
(山崎蒸溜所にてニューメイクを飲んだ限りでは、やはり原料由来の香りや味わいは少なかったので、ちょっとした裏付けになっています。)
全体に、「この甘い香りとスムースな味わいを楽しんで」という意図がはっきりしている銘柄で、それがわかりやすく楽しめるので初心者にも親しみやすい、サントリーらしいウイスキーです。
正直、最初は「カフェスチルでもない連続式蒸溜機で蒸溜したグレーン・ウイスキーでしょ?それをシングルモルト同様のラベルで、しかもスコッチのシングルモルトと同じ価格帯で売り出すなんて、サントリーさんも強気だなあ」と思っていたものですが、このクオリティなら全然ありだと思います。
ちょっとしたプレミアムバーボンを買ったと思えば、連続式蒸溜機の銘柄でこの価格(市場価格で4000円前後)なのも納得がいくというものです。
個人的には、知多を買うのであれば、もう少しお金をだしてニッカのカフェグレーンを買いたいところですが、サントリーとニッカのグレーンを比較する楽しみで、自宅にボトルを持っておいて損しない銘柄であるといえるでしょう。おすすめです!