ウイスキーノート

【鳥井信治郎の遺作】ローヤル

ローヤルについて

「ローヤル」は、サントリーが送り出したブレンデッド・ジャパニーズ・ウイスキーです。ブレンダー鳥井信治郎の遺作にあたります。

「ローヤル」は、サントリーのブレンデッド銘柄の最上位でもありました。様々な紆余曲折がありましたが、基本的には、低いランクから、

といった具合で、贈答用の高級酒のイメージが強い銘柄です。

ボトルデザインは、山崎蒸溜所内の椎尾神社の鳥居を、香りと味わいは、椎尾神社の参道の桜吹雪をモチーフにしていると言われており、鳥井信治郎の信心深い一面をよく示しているエピソードといえるでしょう。

山崎蒸溜所に隣接する椎尾神社。1923年以来、蒸溜所の竣工式である11月11日にお祭りをしている。

このローヤルのボトルを見ていると、山口瞳『青雲の志について』で画かれた、母譲りの信心深い鳥井信治郎像がぐっと真実味を帯びて感じられます。

山崎蒸溜所に展示されているローヤルのボトル。ボトルトップは椎尾神社の鳥居がモチーフになっている。

リリースされた当時はコルク栓の上を帯紐で留められていて、ナイフで帯を取るのが、「大事な酒を開けるぞ!」というひとつのセレモニーになっていました。(現行のボトルではこの紐はありません)

ローヤルの香りと味わい

中野のサントリーバー「BRICK」でいただくローヤル。ショットグラスではなくワイングラスで出してもらいました。

さて、そんなローヤルをテイスティングしたのは中野のサントリーバーBRICK。オーセンティックな香りがたまりません。

サントリーバーBRICKのポスター。おそらく創業当初からあるもので、ボロボロになっている。

さて、まずは香りから。

サントリーらしい、ジャパニーズらしい、非常にソフトでマイルドな香り。知多グレーン由来と思われる甘い香りが強いです。一瞬バーボンと間違えそうになるほどにグレーンが強く感じます。

香りの広がり方は非常に「丸くふくよか」で、尖ったところが全くありません。最初から最後まで心地よく柔らかい香味です。後半にシェリーが感じられ、それがこの酒に華やかさを添えています。

味わいも当然ながら最高レベルにスムース。スパイス、ピートなどは全く感じられません。今回はストレートで飲みましたが、水割りにしてもおそらくバランスが崩れないだろうと思われます。

総合して、サントリー「ローヤル」は、鳥井信治郎らしい、マイルドさと華やかさを併せ持った初心者にもやさしい銘柄であるといえるでしょう。オールドやリザーブを試してみたら、ぜひ次に試してみていただきたい銘柄。

ボトルの形状や鳥井信治郎の遺作であることも含め、おすすめです!

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