ウイスキーノート

【ダブルマリッジ】ホワイト&マッカイスペシャル

ホワイト&マッカイスペシャルについて

ホワイト&マッカイスペシャル(WHYTE & MACKAY SPECIAL)は、ブレンデッド・スコッチ・ウイスキー。ダブルマリッジと呼ばれる製法が特徴です。

ホワイト&マッカイのボトル。勇猛な柄。

ホワイト&マッカイは日本でも古くから知られるブレンデッド銘柄。伝説的なブレンダーであるリチャード・パターソン氏がブレンドを続ける銘柄でもあります。

ダルモア蒸溜所のリチャード・パターソンといえば、とにかくブレンダーの世界では有名な人で、冒険家アーネスト・シャクルトンが南極大陸にうずめていた100年前のウイスキー「マッキンレー」を分析、再現したことでも知られています。

その逸話は数多く、エレベーターに乗れば直前に乗っていた社員が誰か分かるとか、「マッキンレー」の分析時に、それを再現するために必要な原酒の蒸溜所名が一瞬で頭に数十個浮かんだとか、およそ超人と呼ぶしかない稀有な人物です。

リチャード・パターソンは、日本では「美味しんぼ」の70巻に登場していることで広く知られています。

ただ、原酒の香りについてfaint(ぼんやりした)といった謎の表現※を使っていたり、57度のブレンド原酒を「法律で決まってるので、その分、水を足してアルコール度を(43度まで)調整しなければなりません」といった眉唾のこと※を言っていたりと、マンガ上ではかなり嘘くさい人物になってしまっているのは残念です。

※faint…おそらく、蒸溜由来の香りを指すfeintyを訳者が取り違えたものと思われます。
※法律で決まってる…スコッチ・ウイスキーの定義を示す法律(The Scotch Whisky Regulations 2009)では、瓶詰め時の最低度数は40度と決まっていますが、最高度数に関する縛りはありません。(もしそんな縛りがあれば、60度近いものもあるカスクストレングスのスコッチ・ウイスキーはリリースできない。)これは美味しんぼ70巻がリリースされた1999年当時でも同様です。

さて、美味しんぼの話の検証は主目的ではないので別の記事に譲るとして、ともかく伝説的なブレンダーであるリチャード・パターソンが50年来にわたってブレンドしつづけた銘柄が、このホワイト&マッカイであることを強調しておきます。

もう一つのトピックはダブルマリッジと呼ばれる特殊な製法を使っていることです。

ホワイト&マッカイのラベル。DOUBLE MARRIAGEとDOUBLE LIONの図がある。

一般的に、ブレンデッド・ウイスキーの製造には、マリッジと呼ばれる工程があります。

ブレンデッド・ウイスキーは、モルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたものを指しますが、それぞれをヴァッティング(まぜあわせ)してそのまま瓶詰めしてしまうと、それぞれの原酒の馴染みが悪くなってしまいます。

そこで、瓶詰めする前に、モルト原酒とグレーン原酒をヴァッティングしたうえで、プレーンカスクと呼ばれる樽の個性が(良い意味で)死んだ樽に数週間~数ヶ月ほど寝かせることでなじませるのです。この工程をマリッジと呼びます

(このマリッジ段階では、バーボン樽やシェリー樽の香りを移すことが目的ではないので、あえて樽の個性が死んだプレーンカスクを使うのですね。むしろ、個性が残った樽を使ってしまうと、せっかく調合した原酒のバランスが崩れてしまうのです。)

一方で、ホワイト&マッカイは、マリッジを2回行います。

すなわち、35種類のモルト原酒同士をシェリーバットで8~12ヶ月ほどマリッジしたのち、さらにシェリーバットでグレーン原酒をマリッジさせるのです。

こうすることで、馴染んだ上にシェリー香が移ったモルト原酒とグレーン原酒が綺麗になじみ、ひとつ上のブレンデッドが生み出されるというわけです。

ホワイト&マッカイスペシャルの香りと味わい

さて、まずは香りから。

まず気づくのは、1000円台のクラスとは思えないほど贅沢なシェリー香。これはさすがです。飲まずに嗅ぐだけでずっとうっとりとしていられるようなリッチな香り。

エルダーフラワーのようなフローラルさ、蜂蜜の濃密な甘さ、生クリームなど、全体にリッチでスイートな香りが目立ちます。

味わいは、やはり非常にスムース。赤ワインを思わすビター感、ビリビリ感、穀物感が追いかけますが、全体にフルーティでまとまっています。

これが1000円台のウイスキーとは思えない仕上がり。ダブルマリッジ製法の特殊性も踏まえて、ぜひ多くの人に飲んでほしい銘柄。おすすめです!

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