ウイスキーノート

東京から気軽に行けるウイスキー蒸溜所ランキング上位5選

ウイスキー蒸溜所は、気楽な旅の目的地にぴったり。ウイスキー蒸溜所の見学で非日常を味わえるだけでなく、風光明媚な自然に囲まれリラックスできます。

今回の記事では、蒸溜所での試飲を楽しみたい方むけに、車を使わずに東京から気軽に行けるウイスキー蒸溜所をランキング形式でご紹介します。(※都内にもごく小規模な蒸溜所が存在しますが、今回の記事の趣旨から外れるので除外させていただきました)

注意:2020年9月現在、感染症の影響で見学受け入れを停止している蒸溜所もございます。この記事を参考に旅程を決める際は、各蒸留所の見学受け入れ状況の確認をおすすめします。

一位:白州蒸溜所(山梨県)

白州蒸溜所のポットスチル群。初溜釜と再溜釜がシンメトリーに配置されており荘厳さすら感じられる。

白州蒸溜所はサントリー社が誇る大規模工場。壮大な森に囲まれているのが特徴です。蒸溜所の入り口にはバードサンクチュアリがあり、爽やかな鳥のさえずりに迎えられます。

白州蒸溜所のバードサンクチュアリ。鬱蒼とした森が広がる。

サントリー社らしく見学工程も非常に洗練されており、蒸溜塔、発酵槽、貯蔵庫などそれぞれでウイスキー製造を五感をフルに使って楽しめる体験ができます。もちろん試飲も可能。

白州蒸留所のテイスティングセット。細かくテイスティングできる。

また、森に囲まれたレストランで非常に上質な食事をとることもでき、観光施設として必要なものすべてが揃っています。日本の蒸溜所併設レストランの中でも1,2位を争うハイクオリティな料理が並びます。

白州蒸溜所のレストランで供される料理。地元産の食材がふんだんに使用されており身体が喜ぶ逸品ぞろい。

この白州蒸溜所は、新宿駅からJR特急「あずさ」でたった2時間の「小淵沢(こぶちざわ)」駅にあり、さらに土日は駅から無料シャトルバスが出ているので、本当に気軽にいけます。(筆者は小淵沢駅から白州蒸溜所まで歩いたことがありますが、整備されていない歩道を2時間弱歩く必要があり危険でしたのでおすすめしません)

小淵沢駅から白州蒸溜所を望む。白州蒸溜所は左手奥の山の麓に位置する。よほどの覚悟がなければ歩けません。

少しでもウイスキーや森の自然に興味があれば絶対に楽しめる素晴らしい蒸溜所です。都内在住で未訪問の方はぜひ一度足を運んでみてください。

新宿から乗り換えなし、無料シャトルバスがあるため駅からのアクセスも良好、施設内にレストランあり、ということで観光ついでにお昼の食事をとる目的地になるので、大変気軽にいけます。「ウイスキー蒸溜所に行くのははじめて」という人に強くおすすめしたい蒸溜所です。

白州蒸溜所のみどころや具体的なアクセス方法はこちらの記事に詳しいのでぜひご参考ください。

2位:富士御殿場蒸溜所(静岡県)

右側にマルチカラム蒸留器、左側にダブラーとケトルがあるそう。

2位はキリン社が擁する富士御殿場蒸溜所です。

こちらも国内でも指折りの非常に大規模な蒸溜所で、三種類の連続式蒸留機から作られる豊富な原酒が静謐な山々に囲まれた壮大な貯蔵庫でしんしんと眠りについています。

熟成庫の中。静寂が広がります。

食事する場所はありませんが、貴重な銘柄の試飲ができる設備が整っており、ウイスキーファンにはたまらない場所です。

富士御殿場蒸溜所12年レッドワインカスク

気になるアクセスですが、新宿駅から1時間40分で最寄りの富士御殿場駅に到着。そこから無料シャトルバスが出ています。ローカルバスも充実しており、シャトルバスを使わなくても容易に到達可能です。

有料試飲をお願いした時に座れるカウンターエリア。こちらも2016年4月にできたばかりで新しい。外から鳥や蝉の声が聞こえて来て風流がある。

また富士御殿場プレミアムアウトレットモールが近辺にあるのが交通面で非常に便利です。たとえば東京からアウトレットモールまでの格安高速バスを用いて移動し、そこから15分ごとに発車するアウトレットモールが運営している無料シャトルバスで御殿場駅に移動、さらにそこから蒸溜所が運営している無料シャトルバスで富士御殿場蒸溜所、というルートをとれば、なんと東京から2000円もかけずに蒸溜所に到達できます。

富士御殿場プレミアムアウトレットモールでの買い物ついでにぜひ立ち寄ってほしい蒸溜所です。

富士御殿場蒸留所への具体的なアクセス方法はこちらの記事で詳しく紹介しているのでぜひご参考ください。

3位:山崎蒸溜所(大阪府)

山崎蒸留所に展示されている日本初のポットスチル。1923年製。緑青を帯びており時の経過を感じさせる。これを竹鶴政孝が運んだのだと思うと感慨深い。

ここからぐっと距離が遠くなって、大阪府の山崎蒸溜所です。言わずと知れた日本最古の本格的なウイスキー蒸溜所。1923年竣工ですから、100年近くの歴史があることになります。

もともと用地検討の時点から観光を強く意識していたこともあって、京都駅からほど近い「山崎駅」から徒歩数分の位置にあり、関西では抜群のアクセスの良さです。

山崎蒸溜所の目前の線路。この上をポットスチルが運ばれた。

京都駅には、もちろん新幹線も通っていますが、東京から2~3000円程度で多数の夜行バスが出ているため、格安での移動が可能です。

早朝に着く深夜バス。京都タワーのほど近くに降りられます。

また京都タワーには朝早くから運営している銭湯があるので、夜行バスのあとはこちらでリフレッシュするのがおすすめです。

京都タワーの銭湯の入浴券

また同じビルにビュッフェ形式のバイキングもあります。

京都タワー内の朝食ビュッフェ

新幹線でも良いですが、夜行バスで時間と移動コストを節約すれば銭湯とビュッフェを満喫してから山崎蒸溜所に向かうことも可能。関西の観光ついでに是非足を運んでみてください。

山崎蒸溜所についてのより具体的な楽しみ方をこちらの記事で紹介しておりますのでぜひご参考ください。

4位:ガイアフロー静岡蒸溜所(静岡県)

道路側からみた静岡蒸溜所

4位も静岡県から、ガイアフロー社が擁する静岡蒸溜所です。薪直火式の蒸留器を用い、地元の自然や産業と調和したウイスキーづくりをめざす非常に先進的な蒸溜所です。

静岡蒸溜所のフォーサイス社製ポットスチル。手前が薪直火蒸留器。

試飲エリアも充実しており、海外のボトラーズもの(蒸溜所がオフィシャルに出すシングルモルトに対し、瓶詰め業者が独自に購入した樽から瓶詰めした特別なウイスキー)も含め多数の試飲が可能です。

こちらの静岡蒸溜所も、名の通り富士御殿場蒸留所と同じく静岡にある蒸溜所ですが、静岡市の北部にある「奥静岡(略してオクシズ)」にあるため、東京から見ると富士御殿場蒸溜所よりは遠い位置にあります。

最寄りの奥の原上バス停。見学の時間によっては、ひとつ手前のバス停から歩くことになる場合も。

それでも新幹線で東京駅からおよそ一時間、そしてローカルバスでおよそ一時間ほどで到達可能。詳しいアクセス方法はこちらの静岡蒸溜所の見学記事で紹介しているのでぜひご参考ください。

5位:信州マルス蒸溜所(長野県)

信州マルス蒸溜所の看板

5位は長野県にある信州マルス蒸溜所。ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝の上司にあたる岩井喜一郎が設計した蒸溜所です。

ストレートヘッド型、下向きラインアームのポットスチル。ヘヴィな原酒が作られる。

長野の豊かな自然に囲まれた雄大さが特徴。

信州マルス蒸留所の隣を流れる大田切川。上流特有のごつごつした石と清澄な流れ。

まずは東京から高速バスで4時間、4千円前後で駒ヶ根市に向かいます。

高速バスの旅路の途中にあるサービスエリア。標高が高く空気が綺麗なので、遠方の建物や雲も濁り無くすっきりと見えます。

信州マルス蒸溜所内には食事できる施設はないので事前に駒ヶ根市で食事はすませておくのがおすすめです。この地域の名物、ソースカツ丼なんていかがでしょうか。

「中華料理 きよし」のソースカツ丼。ガッツリ系は苦手な筆者ですが、存外にさっぱりしていて美味しく食べられました。

駒ヶ根市からはタクシーで10分程度で信州マルス蒸溜所に着きます。

マルスウイスキーへの近道、赤穂タクシー営業所。インターフォンを押すとすぐにタクシーを手配してくれます。

蒸溜所の見学は基本的に自由見学になるので、ほかの蒸溜所をいくつか回ってウイスキーの製造工程がわかった状態で見に行くと良いでしょう。他の蒸溜所との細かな差異を主体的に見つけられるような人だと、とても楽しい時間をすごせると思います。

敷地内に祀られる水神様。自然への敬意が感じられます。

また信州マルス蒸溜所では「見学ツアー」なるものがないぶん、スタッフのみなさまに質問すると親切にいろいろ教えていただけるので、ある意味スタッフさんとの距離感が非常に近いです。お仕事の邪魔にならない程度にコミュニケーションを試みるのがおすすめ。

清潔で広いテイスティングエリア。タイミングがあえば、日曜でもゆっくりスタッフさんとお話できる。

個人的なおすすめは、駒ヶ根市からの行きはタクシーを使い、帰りは「大田切」駅まで徒歩にすることです。

大田切駅近辺の様子。鉄橋の上を電車が走る。こんな雄大な自然を歩くとストレスも吹っ飛びます。

一時間近く歩きますが、ちょっとしたハイキング(下りのみ)としては最高です。信州マルス蒸溜所は総じて上級者向けですが、蒸溜所旅行に慣れてきたら、ぜひ一度は足を運んでいただきたいところです。

具体的なアクセス方法はこちらの信州マルス蒸溜所の紹介記事に詳しいのでぜひ参考にしてください。

番外

ここであげた蒸溜所の他にも、

といった蒸溜所が関東近郊にありますが、東京からのアクセスの良さ、という観点では番外となりました。どこも魅力的な蒸溜所なので細かくお伝えしたいのですが詳細は各記事に任せます。上位5選の蒸溜所をクリアしてからでもかまいませんので、ぜひ足を運んでほしいと思っております。

またそのうち、茨城県の八郷蒸溜所や山形県の遊佐蒸溜所なども見学が解禁になれば筆者も足を運びレポートする予定です。

まとめ

本記事では東京から気軽に行ける蒸溜所について上位5選を紹介させていただきました。この記事を書いている2020年9月現在は感染症が猛威を奮っており、とても気軽に旅行に行ける雰囲気ではありません。上記で紹介した蒸溜所も見学の受け入れを停止しているところもあります。

しかしだからこそ、感染症が収束してきたら、感染症対策をバッチリとり、積極的に蒸溜所に通ってほしいと思っています。

ウイスキーは製造の現場、貯蔵の現場に行くことでぐっと楽しみが深くなります。ウイスキーの味わいに旅の思い出が加わるのです。

感染症に配慮しつつ、ウイスキーを楽しみましょう!

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