ジャックダニエルシングルバレル(Jack Daniel’s Single Barrel)とは
ジャックダニエルシングルバレル(Jack Daniel’s Single Barrel)とは、テネシーウイスキーJack Daniel’sが限定250本でリリースした、中~高価格帯のシングルバレル(=シングルカスク)の銘柄です。
ジャックダニエルシングルバレル(Jack Daniel’s Single Barrel)について
ジャックダニエルシングルバレル(Jack Daniel’s Single Barrel)は、当然ながら、ヴァッティング(混合)されていない樽出しの原酒が使われていますので、瓶ごとの差が顕著にあります。
複数ボトルを飲んだわけではないので、実際にどれほどの差が出ているかわからないのですが、私が口にした一本を飲むと、「ブレンダーがヴァッティングするなら、この個性はそのままは出さないよなあ」といった、荒々しさを含む印象でした。
このシングルバレル用の樽は、天使の貯蔵庫と呼ばれる、バレルハウス(樽貯蔵庫)内でも最も条件が良いと言われるエリアで熟成されます。
そこはバレルハウスの最上段で、気温の温度差が激しいがために、樽呼吸が促進され、熟成がより早く進むという理屈です。温まれば樽は膨張し、冷えれば収縮します。そうしたなかで、樽のホワイト・オーク材の道管を原酒が移動して揮発したり、また外気をとり込んだり、道管を通じた樽の木材由来の成分を原酒にとり込んだりするわけです。
ジャックダニエルシングルバレル(Jack Daniel’s Single Barrel)の香りと味わい
ジャックダニエルシングルバレル(Jack Daniel’s Single Barrel)を口にしたのは、2016-06-26の三越伊勢丹の特設バーステージにて。既に記事にしているシナトラ・セレクトの他、中価格帯の銘柄であるジェントルマン・ジャックも試飲しています。
結論から言うと、人を選ぶなあ、という印象です。もちろん、シングルバレルですから一本一本の状態が違うので、たまたま自分が飲んだボトルがいまいちだったということかも知れません。
そもそも、シングルバレルにおいて、通常のヴァッティングされたウイスキーと比較することが野暮かもしれませんが、香りと味わいがマイルドで完成度が高い一般的なウイスキーを評価する観点ですと、個性的すぎてイマイチです。
翻って、個性が出ているという観点では、それすなわちシングルバレルの良さでありますから、嗜好品という観点では素晴らしいものであるといえるでしょう。
度数は47度ということで加水調整されており、カスクストレングスではないものの度数高め。その割に香り立ちはスタンダードのJack Daniel’s Old No.7に比べて高いとは感じません。むしろ薄く感じます。たまたま当たった樽が薄い樽だったのかもしれません。
鰹節のようなカビ香、硫黄、木の香りの印象が強い。味わいは、オイリーさがありつつ、タンニン、酸味が強く、未熟成感も強め。木をかじったような収斂の渋みがガツンときます。やはり、調整されていない荒々しさは凄まじいものです。
ジャックダニエルシングルバレル(Jack Daniel’s Single Barrel)の総評
一般的に出回っているバーボン・ウイスキーの括りで見れば、決して上等なものではありませんが、一本一本の個性を楽しむという観点であれば、素晴らしい製品です。ブレンダーの仕事の意義も感じられます。250本の限定発売なので、買うなら今。おすすめです!