グレンファークラス105のボトル

【鉄の女が愛した、シェリー系樽出し60度】グレンファークラス 105

グレンファークラス105は、スペイサイド・モルトに分類されるシングルモルト銘柄。樽出しの度数(カスクストレングス)による力強い香りが数多くのファンを生み出しています。

グレンファークラス105について

グレンファークラス105の円筒形ケース
グレンファークラス105の円筒形ケース。105は黒く、よく目立ちます。

グレンファークラス蒸溜所の特徴というと、

  • 家族経営
  • ガス直火蒸留
  • シェリー系

といった特徴がいくつも浮かびますが、こうした点についてはグレンファークラス10年の記事でくわしく説明しておりますので、もっと知りたいという方はそちらを御覧ください。

さて、このグレンファークラス105の特徴は、なんといってもその度数。カスクストレングスゆえに60度あります。後述のテイスティングでも申し上げますが、とにかくパワフル。

頑固に家族経営を押し通す力強さのある蒸溜所を象徴するような銘柄といえるのではないでしょうか。

グレンファークラス105の香りと味わい

グレンファークラス105のボトル
グレンファークラス105のボトル。シェリーカスクがふんだんに使われており濃い色味。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、グレンファークラス105のテイスティングです。まずは香りから。

グラスに鼻を近づけると、むせ返るようなシェリーの香り。

ふだん、私がテイスティングするさいは、テイスティンググラスのふちから3cmほど離して嗅ぎます。個人差もあるでしょうが、ストレートのウイスキーの薫りと空気がベストな濃度で交わる位置が3cmであると経験的に知っているからです。

ちなみに、ウイスキーはグラスに鼻を突っ込んで嗅ぎ分けるもの、という人がいますが、40度で真っ当な薫りを持っているウイスキーでそんなことをしたら鼻が効かないほどの刺激、もっというとダメージを負ってしまうと考えています。

そうした嗅ぎ分けが必要なのは、加水しているか、そうでもしないと香りを嗅ぎ分けられないほど微弱な芳香しかもっていないウイスキーか、といった場合のみでしょう。

話を戻すと、このグレンファークラスは3cmだと刺激が強すぎるほどの薫りです。さらに1cmほどグラスのふちから鼻を遠ざけないと、繊細な香りがわかりません。それほどの香りの強さをもつのはそうそう多くはありません。

さすが、「鉄の女」と呼ばれたマーガレット・サッチャーが愛していただけあります。恐るべき強さ。

さて、その濃厚なシェリーの香りも「ひねた」ようなものではなく、レーズン様のリッチなドライフルーツの香りがメインでいやらしさがありません。

シェリーに次いで香るのは、キラキラとした柑橘の香り、濃密な蜂蜜、ほのかなピート香、ハスク。

味わいは、ストレートで含むと当然ドライ。オイリーさはなく、穀物の香りが爆発します。しかしストレートで飲むにはあまりにも度数が強すぎる。。。

このグレンファークラス105、わたせせいぞう著『北のライオン』で、子供にしか見えない看護師、「くるみちゃん」が「クイッ クイッ クイッ」とストレートで飲んでいますが、とても真似できません。くるみちゃん、どれだけハードボイルドなんだ。。。

ちょっとあまりにもドライすぎるので、ストレートでは飲めませんね。

というわけで加水すると、桃や赤りんご、クリームの香りが立ちます。1対1の加水でもかなりに強烈に香ります。1対2まで下げると洋梨系のフレッシュフルーツの香りがたってきます。

さて、この1:2の水割りの状態だと、恐ろしくグラスが濁ります。アルコール度数が下がると、アルコールに溶け込んでいた香味成分が析出してきて濁りになるのですね。

見た目には美しくありませんが、つまりストレートの状態でそれだけ香り成分が入っているという、濃厚なお酒であるということが再確認できますね。

味わいは、加水でかなりマイルドになりました。ドライでスパイシー、ほのかにレーズンが舌に残ります。

ノンエイジ銘柄ゆえの未熟成感も微弱には感じますが、それでもシングルモルトらしからぬバランスの良さで非常にまとまっています。グラスの内側に残るフルーティな香りを楽しみながらクイッといくと格別ですね。

グレンファークラス105のまとめ

シェリー系の、しかもカスクストレングスで美味しく飲める良いウイスキー。これが4000円強で買えるって、ちょっと異常なほど破格ですね。だって同じくシェリー系のマッカランのカスクストレングスは75000円とかするんですよ・・・。

手に入れやすさも嬉しい、素晴らしくおいしい銘柄。おすすめです!

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