タラモア・デューについて
タラモア・デューは、ミドルトン蒸溜所で作られるアイリッシュ・ウイスキーです。
タラモア・デューは「タラモア地域の露」を指しています。タラモアは「大きな丘」の意ですが、DEWは「露」です。「藤の露」「園の露」などの名称がある、九州南部の焼酎に通じる命名ですね。
おそらく、ごく小型の蒸溜器からポトリポトリと落ちてくる蒸溜液の様子を表した名称だと思われますが、このタラモア・デューについてはまた別の意味があります。
それは、ウィリアム・E・ダニエルというオーナーが自分の頭文字をとってDEWとつけたというものです。なるほど他にDEWの名がつくウイスキーが思い浮かばないわけです。
さて、そんなタラモア・デューですが、1954年に蒸溜所を閉鎖して以来、ジェムソンやパワーズで知られるミドルトン蒸溜所で作られています。
ところが2010年、グランツやグレンフィデックで知られるウィリアム・グラント&サンズ社にブランド権が移ります。
そのウィリアム・グラント&サンズ社によって2014年から蒸溜所が復活し、現在も稼働中です。そろそろ、この新規の蒸溜所で作られた新生タラモア・デューが飲める時期も近いのではないでしょうか。
タラモア・デューの香りと味わい
さて、そんなタラモア・デューの香りと味わいです。銀座のBRICKでストレートで飲みました。
アイリッシュらしいライトでスムースな香り。良い意味でシンプルで、疲れない軽さがあります。全体にふくよかで、尖った印象がありません。当然ピート香もなし。
作り方の特徴としては、アイリッシュ・ウイスキーのご多分にもれず、しっかりと3回蒸溜ですので、このライトでクリーンな香りになっているのでしょう。
未発芽穀物を使うことで、これもオイリーでスムースな味わいを実現していますが、ジェムソンに比べるとオイリーさが若干控えめな印象。
全体に、既存のアイリッシュ・ウイスキーの範疇を出ない非常にスタンダードな銘柄でありますが、ウィリアム・グラント&サンズ社の新設蒸溜所との比較が楽しめることなどの楽しみがあります。
「ミドルトン蒸溜所のタラモア・デュー」が飲めるのは今だけ。早いうちの購入がおすすめです!