笹の川酒造笹山桜(YAMAZAKURA)について
山桜(YAMAZAKURA)は、福島県の笹の川酒造で作られる地ウイスキーです。チェリーウイスキーEXの上位銘柄です。
笹の川酒造といえば、先日のチェリーウイスキーEXの記事でご説明したように、新たに安積蒸溜所を設立することがウイスキーファンの中で大いに話題になっています。
当然ながら、この山桜(YAMAZAKURA)も、以前の蒸溜設備によるモルト原酒で作られています。
チェリーウイスキーEX同様にこちらもブレンデッドウイスキーですが、価格帯が少し高めなので、モルト含有量が高いか、熟成年数が高い原酒を用いているのでしょう。
箱入りのボトルにも、ちょっとした高級感があります。
もともと、笹の川酒造は「山桜酒造」と名乗っていたらしく、以前の酒蔵の名を関するあたり、本気を出している銘柄といえるのではないでしょうか。
山桜(YAMAZAKURA)の香りと味わい
さて、そんな山桜(YAMAZAKURA)をテイスティングしてみます。
まず香りですが、香り立ちは非常に弱め。全体に、砂糖系のスイートさが目立ちます。
砂糖系といっても、ブラックニッカスペシャルのようなカラメル様の香ばしさというよりは、もっとピュアな、角砂糖を舐めた時に感じるような鼻腔を直接くすぐる甘さがあります。
ジャパニーズらしく、ピーティさ、スモーキーさはほぼ感じられません。
飲むほどに楽しい仕上がり、と公式サイトにあるので、インパクトよりは飲みやすさを考慮したブレンドなのでしょう。
思うに、こうした典型的なジャパニーズウイスキーというものは、グレーン原酒の品質によって大きく左右されているのかもしれません。であれば、これほどスムースでマイルドな味わいが説明できます。
スコットランドでは、「ラウドスピリッツ」と呼ばれるモルト原酒に比べ、グレーン原酒は「サイレントスピリッツ」と言われ非常に控えめな扱いになっていますが、マイルドさを信条とするジャパニーズウイスキーでは、むしろグレーン原酒の個性がウイスキーの個性を決めるのかもしれません。
グレーン原酒についての記述は笹の川酒造のサイトでは特に触れられていませんが、タレに対するダシとしてのグレーン原酒のクオリティに目を見張るものがあると思います。
機会があれば、ぜひ製造者に尋ねてみたいですね。
チェリーウイスキーEXより少し値が張る2500円クラスの銘柄で、単にコストパフォーマンスだけで見てしまうとマルスの3&7や富士山麓にひけをとりますが、いかにもジャパニーズの地ウイスキーといった特徴を楽しめる素晴らしい銘柄なのは違いありません。
とくにグレーン原酒のクオリティは驚くものがあります。また、以前の蒸溜設備で作られたモルト原酒を使っていることを考えると、これも大変に貴重な銘柄であるといえるでしょう。高騰するまえに、今のうちの購入がおすすめです!