シングルモルト宮城峡とは
シングルモルト宮城峡とは宮城峡蒸溜所(ニッカウヰスキー仙台工場)で作られるシングルモルト。ローランド・タイプのモルトを目指して作られているのが特徴です。
シングルモルト宮城峡について

シングルモルト宮城峡が作られる宮城峡蒸溜所は、ニッカ所有の蒸溜所としては、北海道の余市蒸溜所に続き二つ目になります。開業は1969年。
国内の嗜好の高級化、多様化の波をうけ、竹鶴政孝が、ウイスキーのさらなる品質向上を目指して、ハイランドタイプの余市モルトに掛け合わせるためのローランドタイプのモルトを目指して作られたのが宮城峡蒸溜所です。宮城峡蒸溜所について詳しい説明は下記の記事で説明していますので興味がある方は是非ご覧ください。

実際に、余市モルトと宮城峡モルトを掛けあわせて、
などが作られるようになりました。
ブレンドのための複数の原酒製造という観点では、ニッカウヰスキー社における余市と宮城峡は、ウィリアム・グラント&サンズ社における、グレンフィデック蒸溜所とバルヴェニー蒸溜所の関係に似ているかも知れません。
グレンフィデックとバルヴェニーのモルトとグレーン・ウイスキーを合わせて作られるのが、かの有名なブレンデッド・スコッチ・ウイスキー、グランツ・ファミリーリザーブというわけです。
シングルモルト宮城峡の香りと味わい

シングルモルト宮城峡の香りは以下の通り。
燻製香、ヨード香、洋梨、ブリニー、蜜、ハニー、ドライフルーツ、バニラ。
香りを嗅いでいるだけで幸せなほどの芳醇さ。まとまりのなかに、個性の強さ、芯の強さも感じます。度数が45度と比較的高いことが、香り立ちの良さに影響しているのかもしれません。
余市に比べると繊細で優雅ですが、それでもヘビーです。昔ながらのスコッチ・ウイスキーの正統のシングルモルト、といった印象です。
ふつうは水割りしないと出てこないような、みずみずしい洋梨の香りが最初から濃厚に伝わってきます。

口当たりはさっぱりとしていますが、酸味と刺激、粉っぽさが悪目立ちしている印象があります。味わいとしては、ビター、穀物、ピリピリ感が強い。
近年の原酒不足によってシングルモルトながらノンエイジ銘柄を出さざるをえない状況から、やはり、香りはともかく味わいからは未熟成感が感じられます。
穀物のほのかな甘さ、フィニッシュの粉っぽさはブラックニッカスペシャルに通じる部分があり、やはりシングルモルト宮城峡は様々なブレンデッド銘柄のキーモルトなんだな、と実感できました。
シングルモルト宮城峡の総評
シングルモルト宮城峡の総評としては以下のとおりです。未熟成感が強いため、シングルモルトとしては年代物とは比較できないが、香りの芳醇さと蒸溜所の歴史的な背景が豊かであり、ウイスキー好きなら楽しく美味しく飲める銘柄。おすすめです!