【花梨】富士御殿場シングルモルト17年

富士御殿場シングルモルト17年とは

富士御殿場シングルモルト17年は、キリンの静岡の富士御殿場蒸溜所で作られるジャパニーズ・シングルモルトウイスキーです。花梨を思わすフルーティな香りが特徴。

富士御殿場シングルモルト17年について

ストラスアイラ蒸溜所を髣髴とさせるポットスチルの再留釜。ここでも、奥の白い壁面をスクリーンにして映像が流れる。
ストラスアイラ蒸溜所を髣髴とさせるポットスチルの再留釜。ここでも、奥の白い壁面をスクリーンにして映像が流れる。

富士御殿場シングルモルト17年は名の通り、静岡の富士御殿場蒸溜所で作られたモルト原酒のうち、18年以上経った原酒のみがボトリングされています。

富士御殿場蒸溜所のモルト製造はかなり特徴がありますので、以下にいろいろと説明いたします。

ひとつは、ポットスチルがストラスアイラ蒸溜所の流れを組んでいること。もともとキリンシーグラム合弁会社として出立した歴史から、富士御殿場蒸溜所にはシーグラム社(当時)の配下にあった蒸溜所の技術を参考にした設備があります。

富士御殿場蒸溜所シングルモルト17年
富士御殿場蒸溜所シングルモルト17年

その代表的な設備のひとつが、ブレンデッド・スコッチウイスキーの銘酒として知られるシーバスリーガルのキーモルトであるスペイサイドストラスアイラ蒸溜所のポットスチルに模して作られました。バルジ型、ラインアーム上向きの構造がクリーンで華やかな原酒を生み出します。

富士山麓シングルモルト17年にも、その華やかさが生きています。

また特徴のひとつは、バレルエントリー(樽詰め)のアルコール度数が50°であることです。スコットランドの蒸溜所では63.5°前後で樽詰めされるのが一般的ななか、かなり挑戦的な度数であると言えるでしょう。これはあくまで想像ですが、樽詰め時のアルコール度数を下げることで樽成分の溶出速度を緩め、長期熟成を可能にするという意図があるのかも知れません。

展望台から見た富士御殿場蒸溜所の景色。右はサイロで左が蒸留塔。サイロの会社のロゴが誇らしい。
展望台から見た富士御殿場蒸溜所の景色。右はサイロで左が蒸留塔。サイロの会社のロゴが誇らしい。

さらに特徴のひとつは、樽熟成にすべてバーボン樽を利用していること。

一般的には、原酒に多様性を持たせるため、バーボン樽だけでなく、シェリー樽やポートワイン樽、ワイン樽、大きさの分類ではホグスヘッドやシェリーバット、パンチョン樽など様々な樽を用いることが推奨されます。原酒の多様性が、後のブレンドの幅を広げるためです。

そうした観点で、サントリー白州蒸溜所山崎蒸溜所ニッカ宮城峡蒸溜所、規模的にはマイクロディスティラリーに入る本坊酒造信州マルス蒸溜所でも様々な種類の樽を用いている中で、バーボン樽、サイズ観点でも一般的に長期熟成に向かないとされるバレルサイズのみで熟成させている富士御殿場蒸溜所は、異端的といっても良いでしょう。

マルスウイスキーの貯蔵庫。ぶどう酒系の樽が多いのか、ラムレーズン様の香りが強い。
こちらは本坊酒造の信州マルスウイスキーの貯蔵庫のひとつ。小規模ウイスキー蒸溜所にもかかわらず、さまざまな種類の樽がある。ぶどう酒系の樽が多いのか、ラムレーズン様の香りが強い。

樽熟成にもピークがあり、一般的には10年前後がベストと言われています。長期熟成させればかならず状態が良くなっていくわけではなく、「樽負け」といって樽の個性が出すぎて使い物にならない原酒になることもあると言われます。

特に、パンチョン等の大型の樽に比べて容積が少なく、相対的に樽との接地面積が大きいバレルサイズの樽では比較的早く樽熟成が進み、樽負けしやすく、長期熟成に向かないのです。

しかし人間と同じように、熟成のピークは樽ごとに異なりますから、長期熟成に向かないと言われるバレルサイズながら、まれに長期熟成によって本領を発揮する樽が出てきます。

富士御殿場シングルモルト17年は、そうした希少な樽だけをボトリングした、非常に贅沢なウイスキーなのです。

富士御殿場シングルモルト17年の香りと味わい

有料試飲をお願いした時に座れるカウンターエリア。こちらも2016年4月にできたばかりで新しい。外から鳥や蝉の声が聞こえて来て風流がある。
有料試飲をお願いした時に座れるカウンターエリア。こちらも2016年4月にできたばかりで新しい。外から鳥や蝉の声が聞こえて来て風流がある。

富士御殿場シングルモルト17年を味わったのは、富士御殿場蒸溜所のテイスティングエリア。有料試飲を頼んだ人だけが入れるバーカウンターにて、優雅にいただきました。(有料試飲セット2000円で最高に贅沢な気分になれます。)

既に無料試飲で二杯飲んでいたので若干酔っており、きちんとテイスティングできるか不安でしたが、それでもはっきりと個性が伝わる素晴らしいお酒でした。

度数は46度で、さすがの香り立ち。テイスティングセットの説明に書いてあるように花梨、洋梨、黒糖の香りが濃厚に香り立ちます。

富士御殿場蒸溜所のテイスティングエリア。新しい設備で、非常に清潔感がある。
富士御殿場蒸溜所のテイスティングエリア。新しい設備で、非常に清潔感がある。

フルーティな香りがするウイスキーは種々ありますが、シェリー樽を使わないでここまでフルーティなウイスキーを作れるのは衝撃です。しかも、確かに花梨の香り。

群馬県草津のペンションにて食前酒として花梨酒を飲んだことがありましたが、その時の思い出がフラッシュバックするくらい、鮮烈な花梨の香りがするのです。これは本当に驚きました。

しかも、その奥にはいかにも和を思わす黒糖ようのまったりとした濃い甘い香り。非常に複雑で濃厚な香りです。さすが17年物です。

味わいは、まずはひとくち含むと、水のようにスムース。長期熟成によって、エタノールと水分子の交合が非常に進んでいるのでしょう。オイリーさとは違ったスムースさがあります。Barレモンハートの言い方でいえば「喉にスー」というやつです。

とはいえ刺激感も少しだけ。フィニッシュにはノンチルゆえか、粉感も。また若干ブリニー。含み香、キックバックの複雑さ、深みは白眉。モルトらしい丸く深く広がる香り。ひとくちに上等なシングルモルトといってよいでしょう。

富士御殿場シングルモルト17年の総評

富士御殿場シングルモルト17年は、素晴らしく美味しいジャパニーズ・シングルモルトウイスキーあることは間違いありません。なかなか手に入らない銘柄ですが、富士御殿場蒸溜所に行けば試飲、購入できます。とにかくオススメです!

(富士御殿場シングルモルト17年はAmazonで扱われてないので、同蒸溜所の別銘柄を以下にご紹介します。)

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